未来のめがねで明倫を見つめなおそう
役所がなんでもやってくれる時代から、住民も共に行動する「協働」が言われ始めて久しくなりました。明倫は今、さらにもう一歩、踏み出します。自分たちの住む町のために、誰かが何かをしてくれるのではなく、自分たちがこの町のために何ができるかを考え、創るための一歩。この先もずっと明倫が歩み続ける一歩です。
平成26年9月から主に地区内の若い人たちを中心に、さらに多くの女性や地区外の方にも多く声を掛けさせていただいて、地域づくりのプロデュースを専門的に全国各地で行っている㈱studio-L(スタジオ-エル)のスタッフの方々に来ていただき、ヒアリングを行いました。このヒアリングを元に、11月8日に第1回目のワークショップ「みんなの明倫会議」をスタートさせました。
「みんなの明倫会議」は、住民の思い描く明倫の未来について、住民の意見を聞きながら、これから本当に何が出来、実現できるかを考える会です。明倫地区住民や興味のある方々と共に考え、集約し、行動に移していくための作戦を練っていく・・・・この地道な作業を繰り返し、どこにもない一味違う明倫地区を、一人でも多くの方と思いを共有し「住みたい明倫」「行ってみたい明倫」を一緒に作り上げていきたいと思います。
未来の明倫のために、一緒に創造していく仲間を募っています。「みんなの明倫会議」って面白そうと思った方、これからの明倫を盛り上げたいと思っている方、明倫地区に興味のある方・・・ぜひ、仲間に加わって未来への一歩を一緒に踏み出しませんか?
みんなの明倫会議スタート!
明倫地区を住み続けたい、訪れたい地域にするための方法を考え、実行していく「みんなの明倫会議」。「これから」を見据えた新しい視点で明倫を見つめなおし、地域を盛り上げるための作戦を一緒に練るための場がスタートしました。
13:30 開会、あいさつ
13:35 取り組みについての説明
13:45 座学「コミュニティデザインで地域を元気にする方法」
14:25 ワークショップ「明倫地区の強みと弱みを考える」
15:35 全体共有
15:50 講評
16:00 閉会
明倫地区は少子高齢化などの課題を抱えていますが、そうした状況の中で、この会が、若い方から年配の方まで明倫のいろいろな人の力を使って、地域を見直すきっかけになればと考えています。3
年前からは、集落支援員による「住みたくなるまちづくり」の取り組みが進められてきました。この他にも地域のみなさんがやってみたいと思っている夢を実現し、明倫地区を元気にしていきたいですね。(倉吉市自治公民館連合会岡野勝義 会長)
studio-Lの醍醐さんに、地域を元気にする全国各地のコミュニティデザインの事例を紹介してもらいました。
<事例1 島根県海士町>
人口2400 人ほどの離島、海士町では、住民参加型で「島の幸福」を目指した総合振興計画がつくられました。これをきっかけに、10 代から40 代の若者が中心となり住民同士で誘い合って楽しく暮らすための「お誘いやさん」や趣味を活かした交流の場づくり「海士人宿」など、新たな取り組みが生まれています。
<事例2 福井県福井市>
人口減少や空洞化などの課題を抱える福井市の駅前商店街地区で、まちなかを楽しむ仲間を増やすためスタートした「まちの担い手づくりプロジェクト」。これをきっかけに、商店街の空店舗を拠点とした自主企画が始まっています。毎月開催の「キチバル」は、商店街のアーケードに
机を並べ夜通し語り合うもの。「きちづくり福井会社」という自主グループも設立されました。
<人口減少社会を生きる私たち>
人口減少時代を迎えている日本社会。人口が増加し、景気が上向いていた時代とは違う考え方や発想が必要になっています。一方で、現状を逆手に取り、発想を逆転すれば、人口減少社会の先進事例となる新しいモデルを生み出すことができます。
<コミュニティデザインとは?>
コミュニティデザインは、地域のみなさん(コミュニティ)が、地域の課題を発見・解決していくことで、自ら地域を元気にしていくための過程を、デザインの力で支援していくもの。まちで楽しく活動し、お金ではない「儲け」を得る人を増やしていくものです。
明倫地区の強み(魅力)と弱み(課題)を話し合いました。また、弱みを強みに言い換え、課題を資源として活用する方法も考えました。
ワークショップで出た意見の一部をご紹介します。(特に多かった意見は太字にしています。)
身近な自然 |
強み |
自然・緑が多い / 水・空気がおいしい / 山・川が近い(鉢屋川、小鴨川、打吹山)/ 野菜がおいしい / 蛍 / まちの人達で鯉を育てている / 花いっぱいのプランターが地域で育てられている |
人 |
強み |
親切な人が多い / 元気な高齢者が多い / 女性のパワーがすごい / すばらしい人材が多い / まちづくりに前向きな人が多い / 他にない活動をしている(ミツバチプロジェクト、IJU カフェなど)/ 隣の人の顔が見える / 団結力が強い |
弱み |
子ども・若者の数が少ない / 高齢者が多くパワーが少ない / 人前に出たがらない /悲観的 / まちづくり全体に連携が薄い / 近所づきあいが希薄になりつつある/ 外部からの人が入りにくい |
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行事 | 強み |
地蔵盆の花火を60 年継続している/ 各町でそれぞれの祭がある / 地区でのイベントが多い |
弱み | 町の行事の参加者が少ない | |
暮らし | 強み |
災害・事件が少ない / 交通の便が良い / 生活に必要な店がある / 町がコンパクト /病院が多い / 介護施設がある / 保育園、幼稚園、児童センターがあり子育てに便利 / 土手・サイクリングロードがある / ウォーキングコースあり /
各地区に公民館がある |
弱み |
食べ物屋、飲み屋が少ない / 気軽に集まる場所、機会が少ない / 働く場が少ない /バスの本数が少ない / 交通量が多い(交通事故増加) |
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歴史文化 | 強み |
他にない文化がある / 職人・技(鍛冶) / 小さな神社が多い / 八幡神社 / 仏師がいる / 昔からの伝統の暮らしがまだまだ残っている / お地蔵さんがすぐ近くにいる / 倉吉の商店が始まったという歴史 / 倉吉淀屋がある |
弱み |
自慢できるじげ料理が少ない |
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街並み | 強み |
昔ながらの街並が残っている / レトロで風情のある街並み / 細い小道が楽しい |
弱み |
人通りが少ない / 夜になるとさみしい / きれいな公園が少ない / さら地が目立つ |
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建物 | 強み |
歴史的な建物、水源地がある / シンボル(円形校舎)がある / 銭湯(大社湯)がある / ゲストハウスがある / 趣のある民家が残っている |
弱み |
空き家や老朽化した建物 / 家の間口が狭く建て替えができにくい |
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その他 | 強み |
他地区からの玄関口にある |
弱み |
これといった地元の特産品がない / 地区毎の悩みに差がある |
<弱みを強みに!>
弱みを強みに言い換えてみると、「空き家は活用できる資源」「人が少ないからこそ結束力がある」などの意見が出ました。このように逆転の発想で、弱みを強みとして活かす発想が大切です。
今日のワークショップでは、円形校舎、人のつながりや親切さ、ものづくりや技など、明倫の資源がたくさん見つかりました。まちづくりの取り組みがすでにある、住みやすいという意見も多かったですね。一方で、若者が少ない、高齢者の数が増え、一部の人に地域運営の負担が偏っているといった課題が出ました。倉吉市全体の中での位置づけについても話が及んでいました。今後、若者の視点も取り入れ、明倫が目指す方向性について、いろいろな可能性を探っていきたいですね。
知っているようで知らない地域の特色を再認識できた。/ 世代の違う方との交流の中で自分の考え方を整理できた。/ ”Yes and”が大切なことが実感できました。 / 私はいい所に住んでいるのだなと改めて感じました。
明倫地区の「こうなったらいいな」を共有!
第2 回「みんなの明倫会議」では、地域の「こうなったらいいな」という姿をイメージし、その将来像を「未来新聞」にまとめました。ワークショップは白熱し、気がつけば、いつの間にか全員が立ち上がって新聞づくり。今後の取り組みの基礎となる「ビジョン」を共有した2 時間半でした。
18:30 開会、あいさつ
18:35 カタルタ自己紹介
18:50 前回のふりかえり
19:00 座学「まちを元気にする取り組みを実現するには」
19:30 ワークショップ「明倫地区の未来新聞をつくろう」
20:45 全体共有
21:00 講評
第1 回では、多彩なご意見をいただき、みなさんの熱い気持ちを感じました。今日は、前回よりもっと進んだ意見が出てくると思います。こうした声をこれからの明倫地区のまちづくりにつなげていくには、テーブルの議論だけでは成り立ちませんし、大変な作業になるでしょう。周囲のみなさんの協力も得ながら、取り組みを実現していきたいですね。(倉吉市自治公民館連合会岡野勝義 会長)
ワークショップをはじめる前に、様々な接続詞や副詞が書かれたカード「カタルタ」を使った自己紹介にチャレンジしました。カードを1枚ずつ引き、そこに書かれた単語を使って、自己紹介をしていきます。みなさん、脈絡なく繰り出される言葉を使い、思わず「うまい!」とうなる自己紹介を披露してくださいました。
第2 回みんなの明倫会議が開催されたのは、2014 年も残り10 日に迫った年の瀬。ということで、ワークショップ後に忘年会も兼ねた懇親会を開催しました。参加者のみなさんの持ち寄り品をはじめ、おいしいご飯を囲みながら、わいわいと話が弾みました。
studio-Lの醍醐さんに、ビジョンを共有し、継続的な活動につなげている各地の取り組みを紹介してもらいました。
<事例1 東京都墨田区>
区による先進的な食育の取り組みやテーマ型コミュニティの活発な活動が特徴的な墨田区。さらなる展開へとつなげるため、地域の幅広い世代と「墨田食育計画」をつくるとともに、実践ツールとしての「食育ワークショップカード」作成や「食育推進リーダー育成講座」の実施等を通じ、地域の食育活動を後押ししています。
<事例2 群馬県富岡市>
富岡市では、2014 年に「富岡製糸場」がユネスコ世界文化遺産に登録される前から、登録後の一時的なブームで街の環境や暮らしにダメージを与えないため、長期的な視点に立った生活者主体のまちづくりを進めてきました。富岡の街全体を好きになってもらうため、「笑顔いきあうまち富岡」を合言葉に、来訪者とともに市民自身が笑顔で楽しめるプログラムを実施中です。
<みんなでビジョンを共有する>
地域を元気にする取り組みを始める上で、ビジョン(将来像)を共有するということがとても重要です。ビジョンとは、何をゴールにするのか、どんな地域を目指すのかという見通しです。前回ご紹介した海士町の取り組みや、今回の墨田区、富岡市の事例でも、ワークショップを通じて最初に地域のみなさんとビジョンを共有しました。その後は、チームをつくり、社会実験を実施したり、計画をつくったり、地域によって様々な進め方で、継続的な活動につなげています。明倫地区も、ビジョンを達成するために、一番いい進め方を考えていきたいですね。
「明倫地区がこうなったらいいな」という未来のイメージを書き出し、新聞形式でまとめました。
住みやすさや古いものと新しいもの、若者とベテランの役割分担、自然環境の良さや面白い人材、空き家を活かす、お店や食、祭の魅力を増やす、定住促進といったキーワードが共通してあがっていました。今は、おもしろいことやもの、仕事を自分でつくりだすことのできる時代です。明倫地区の強みである学区単位の公民館やNPOといった現存の組織が、今日話し合った将来像の実現をどう支えていくか、これから考えていきたいですね。
若い方々の新しい参画が見られ、これからが楽しみです。じっくり、みんなで考えましょう。 /ビジョンの方向、重要性を感じました。 / みんなで動けば、何でもできそうな気がした。
「こんなことやってみたい」「あんなことできそう」を数珠つなぎ
いよいよ今年度後半戦に突入した「みんなの明倫会議」。第3 回では、これまでに整理した地域の資源と「こうなったらいいな」という姿をもとに、明倫地区でできそうな、やってみたいアイデアを考えました。参加者のみなさん同士のアイデアを組み合わせ、数珠つなぎ的にアイデアを増やしていきました。
19:00 開会、あいさつ
19:05 前回のふりかえり
19:15 座学「地域の資源からアイデアを発想する」
19:25 事例クイズ
19:40 ワークショップ「アイデアを連想しよう!」
21:05 全体共有
21:20 講評
21:30 閉会
今回で3 回目のワークショップとなりました。第2 回では、明倫の未来新聞をつくろうというテーマで、こうなったらいいなという明倫の未来を考えました。回を重ねるごとに話し合いのハードルは高くなっていきますが、せっかく集まっていただいたみなさん同士で熱い意見交換をし、一人ひとりができることを考えていきたいですね。(明倫地区自治公民館協議会米舛隆生 副会長)
stdudio-Lの醍醐さんに、「すでにある資源をもとに、地域を元気にするアイデアを発想するには?」をテーマに、事例を交えてお話ししていただきました。
<事例 広島県福山市「フクノワ」>
駅前の商店街から多くの店舗が失われ、中心市街地の機能低下が深刻化している広島県福山市では、市民のみなさんがワークショップを通して、中心市街地を元気にするアイデアを考え、実験的に実施しています。「フクノワ」と名付けられたこの活動では、聞き屋さんやレトロゲーム大会やパンマルシェなどが展開されています。
<明倫地区のプログラムのデザインとは?>
近年、自治会や町内会、子ども会など、「地縁型コミュニティ」の活動が弱まる一方でNPOやサークルをはじめとした「テーマ型コミュニティ」の活動が活発化しています。テーマ型コミュニティの活動によって、地域の課題を解決してくためには、コミュニティと地域をつなぐ「参加」のデザイン、「参加の場」のデザイン、
「プログラム」のデザインが重要になってきます。どんな仲間と協働し、どんな活動をしたいか。みなさん一人ひとりがそのことをじっくり考えることが大切です。明倫地区ならではの「デザイン」を考え、楽しみながら地域を元気にする活動を生み出していきたいですね。
アメリカの広告マン、ジェームス.W.ヤングの「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という言葉があります。アイデアは何もないところからは生まれません。普段からアイデアのタネとなる情報を蓄積し、様々な組み合わせを試しながらアイデアを増やしていきましょう。
①情報の引き出しをつくる …普段からアンテナをはり、自分なりの情報ストックをつくっておきましょう。
②いろいろな角度から情報を見てみる …ストックした情報を様々な角度から見て新しい組み合わせを見つけましょう。
③アイデアを増産する …とくかく量が質を生みます。yes, and!でいい意見に便乗し、アイデアを増産しましょう。
アイデアを考える前に、そのタネとして国内外の事例をクイズ形式でご紹介しました。
森の図書館(東京)…25 時まで営業している図書室。飲食も可能で仕事帰りに気軽に立ち寄ることができる。
日本愛妻家協会(群馬)…愛を叫ばれたキャベツは甘くなるという仮説のもと、贈答用キャベツを2000 円で販売。
NANA(イギリス)…スタッフのほとんどが60歳以上のカフェ。地域のパブを夕方まで借りて運営している。
僕らはゴミヒロイ(福岡)…ごみ拾い活動に参加してくれる人をモデルにした写真をポスターにして展示している。
おっこう屋(高知)…住民が持ち込んだ思い出品からアーティストの作品までが並び、様々な人が出入りするお店。
カードに書かれた他の人のアイデアをあれこれ組み合わせ、新しいアイデアを増産していきました。模造紙に収まりきらないほどたくさん生まれたアイデアの一部をご紹介します。
<すぐそばにある自然>
自然や豊かな食を身近に楽しむためのアイデア
<まちの自慢づくり> 明倫の顔・誇りとなるイベントや名物品のアイデア
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<古くて新しいまち> 歴史・伝統を活かし新しいものを生み出すアイデア
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<行きたくなる、集いたくなる場所>
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<みんなにやさしい、みんなが楽しい>
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今日は体育会系の内容でしたね。私たちもよくアイデア100
本ノックをし、その中からきらりと光るアイデアを見つけていきます。今日も地蔵カフェや町中先生などおもしろいアイデアのタネがたくさん出ました。模造紙にまとめたことで、全体の傾向も把握して頂けたかと思います。普段アンテナをはって事例収集しておくべき分野がわかったのではないでしょうか。脳にたくさん汗をかいたと思いますので帰ってゆっくり休んでください(笑)
出るもんですね、アイデア / 想像以上にスパルタだった / 1 つのテーマが限りなく広がって行くおもしろさ / (今後)より具体的な話をしていけるようにしたい
日時/2015年2月27日(金)19:00~21:30
会場/明倫公民館
〒682-0864 鳥取県倉吉市鍛冶町2丁目2980
NPO法人明倫NEXT100
〒682-0865 鳥取県倉吉市越中町1583-1
TEL:0858-24-5137 FAX:0858-24-5138